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チンパンジーも笑う

10月17日、ちょっとだけにわか雨がありましたが、穏やかな絶好の行楽日和。すぐそこの天王寺動物園にもたくさんの親子連れが訪れたことでしょう。今日の動物園前サイエンスカフェ、テーマは動物園前にふさわしく、『チンパンジーの遊びと笑い』、京都西山(せいざん)短期大学の松阪崇久さんに話題提供していただきました。

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松阪さんのフィールドは、タンザニア、タンガニーカ湖の畔マハレ国立公園の森です。マハレの森での日本のチンパンジー研究は50年を迎えたそうです。写真は、マハレのキャンプにあるトイレ。夜中にはよくヤマアラシが訪問して来るそうで、お尻を刺されないように注意しなくてはならないとのこと。松阪さんは、チンパンジーたちの遊びに注目して、チンパンジーの群れを追って、森を駆けずり回り、遊びの現場に遭遇すると撮影を繰り返して、遊びの映像をたくさん収集してきました。

チンパンジーのちびっこたちは、人間のこどもたちのように、追っかけこが大好き。レスリングもよく見られるそうです。でも、年上のこどもは、年少さんがけがをしないように、ちゃんと気遣うそうです。えらいですね。人間とちがって、集団遊びはほとんどなく、2人遊びが多い。時には、遊び相手に見立てた草に飛びついたりすることも観察されるそうです。

松阪さんはとりわけ、遊びの中に見られる笑いに注目しています。松阪さんたちの最近の研究によって、チンパンジーも笑うこと認識されるようになりました。学術論文でも「笑う」という表現が使われるようになってきたそうです。チンパンジーの笑いは、遊びの中で、相手から予想に反した行為を受けたときに現れるとのこと。

ただし、チンパンジーの歯をむいて笑っているような表情は、実は笑っているのではなくて恐怖の表情。相手に対して危害を加えませんよというシグナルにもなっている。ニホンザルでも同じ。考えてみると、人間の微笑みも同じ機能をもっています。チンパンジーの笑いとして松阪さんが紹介したのは、例えば、くすぐられて逃げようとしながら、ハアハアとあえぐ声を上げている仕草。チンパンジーが笑っていると気づくにも観察力が必要ですね。

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動物園前1番街は、カラオケ屋さんがたくさんあって、昼間から酔っぱらったおじさんたちがけっこう歩いています。松阪さんの話に興味をもったご機嫌のおじさんが通りかかりに参加。しばらくサイエンスカフェの会話に合いの手を入れながら、聞き入っていましたが、しびれを切らして突然手を挙げて、鋭い質問。「結局、何のためにそんな研究をやってるの?」 なんとすばらしい!サイエンスカフェは、まさにそのことを議論する場なのです!

松阪さんは、チンパンジーの笑いを通じて、人間の笑いの起源に迫ろうとしています。また、人間の笑いは、チンパンジーと違ってずっと多様であることを解説していただきました。どうして人間は、いろいろな場面で笑うことができるのか?聞けば聞くほど興味は深まるばかり。ずっと議論を続けていたくなる2時間でした。
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Tag:当日の様子  Trackback:0 comment:0 

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Author:zoomae
動物園前サイエンスカフェの企画運営をしています。
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