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インドネシアの森林火災を考える

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写真 メルボルン動物園提供

1月9日、今年最初の動物園前サイエンスカフェが開催されました。ちょうど宵宮えびすの日にあたる土曜日とあって、動物園前周辺は今宮戎にお参りの人々で大変なにぎわいになるのかと思いきや、臨時に増員された駅係員も手持ち無沙汰の様子。商店街もいつもより人通りが多くなる気配もなく、景気を神頼みする時代もいよいよ終わったかと商店街の方々と会話しながら、会場の準備。しかし、当サイエンスカフェの方は、開始時間前から人が集まりはじめ、最終的に会場いっぱいの老若男女30人に参加していただきました。

今回は、日本ではあまり知られていないインドネシア、ボルネオ島とスマトラ島の大森林火災問題をテーマに取り上げました。(しっぽのない)ヒト科のサルで、もはや5万頭しか生存していないオランウータンの生息地が、ちょうどこの2島です。オランウータンは度重なる森林火災によっていよいよ絶滅の危機に直面しています。

インドネシアの森林火災は毎年乾季に発生してきました。焼き畑の習慣と、油やしの農園を違法に切り開く目的で人によって火がつけられたことが原因と考えられています。しかし、今年はエルニーニョの影響で、雨季になるのが遅く、全島を煙が覆い尽くすほどの大火災にまで発展してしまいました。

昨年11月5日号のNature誌は、「今世紀最大の環境犯罪」という環境保全研究者の言葉を引用しています。煙で交通が遮断されたり、呼吸器疾患が増えると言うだけでなく、森林の地層をつくる厚さ15メートルもの泥炭層にまで火がついて、少々の雨では消えず、森林に蓄えられた膨大な炭素を大気中に放出しています。インドネシアの森林火災は、熱帯雨林の焼失による生態系ごとの生物種の喪失に加え、大気中の二酸化炭素増加の加速という地球規模の環境問題になっています。私たち日本人にとっても、もはや彼岸の火事ではないのです。

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今回、スマトラ島の国立アンダラス大学人文学部で招聘教員をされている坂井美穂さんに、ちょうど日本に一時帰国されるのを機会に、話題提供をお願いしました。

はじめに、最大の被害者であるオランウータンについて、紹介していただきました。オランウータンは、ゴリラと同じく菜食主義で、主にイチジクなどの木の実を食べて暮らしています。1日に数百メートルしか移動しないのも、もともと森が豊かな証拠でしょう。また、オランウータンは全く泳げないので、川を渡って火事から逃れることもできないそうです。オランウータンの生活や社会・生態については、サイエンスカフェに参加してくれた京都大学のオランウータン研究者、田島知之さんから、コメントを頂き、参加者の質問にも丁寧に答えていただきました。

坂井さんは、日本には未だ馴染のないインドネシアの文化についても、紹介してくれました。実は、サイエンスカフェ会場周辺には、急増する外国人観光客がたくさん宿泊するゲストハウスがあり、インドネシアからの観光客も団体で毎日のように商店街を訪れています。インドネシアも中国と同じく経済発展し、裕福な人口も増えていることが、大阪の街中でも実感できます。経済発展が著しいのはジャワ島で、人口2.5億人の6割が暮らしています。ジャカルタは高層ビルが林立し、JKB48というアイドルグループがとても人気があるそうです。一方、ボルネオ島とスマトラ島では、電力の安定供給もままならず、頻繁に停電があるそうです。予告もなく突然停電になるのに、事故ではない「計画停電」なのだそうです。原発建設の計画もあるらしい。インドネシアの文化で興味深いのは、国民のIDカードには、宗教の欄があり、国民はすべて何らかの宗教に帰属しなくてはならないそうです。

さて、今回のテーマである森林火災は、インドネシアの地域生活や経済にも大きな打撃をあたえています。2004年のスマトラ沖地震の被害よりも大きいそうです。坂井さんは、煙で覆われた街の写真や、インドネシアのテレビニュースの映像を紹介してくれました。火災に関わっているとされる油やしプランテーションの拡大については、歴史的にも、政治・社会的にも、たくさんの問題が絡みあっていることが解説されました。解決も容易ではありません。参加者からは、「自分たちの生活に被害が及ぶのに、なぜ火をつけるのか」、生産された油やしの多くはインドと中国に輸出されているが、「それが製品化されて日本にもたくさん入ってきているのでは?」という疑問も。

そして、世界中から膨大は資源や生産物を輸入しながら、不自由なく暮らしている日本の私たちに、何ができるのか。参加者の間で意見を出し合いました。消火設備を援助する。植林を進める。自然の熱帯雨林を守ることによって生活ができるような産業を育成するなど、いろいろアイデアが出てきました。しかし、日本の最大の問題は、大多数の国民にとって全く関心事になっていないことですから、インドネシアの森林火災の深刻さを知ってもらうことが、私たちにとっての一番の課題ではないでしょうか。

今回のサイエンスカフェの開催にあたり、オーストラリアのメルボルン動物園は、オランウータンの写真を快く提供してくれました。実は、メルボルンを含むオーストラリアの4大動物園は協力して、インドネシアの森林を守るため、違法に栽培された油やし製品を輸入させないキャンペーンを行っています。現代における動物園の社会的役割を自覚して、市民に発信する。日本の動物園にも、大いにその能力を発揮して欲しいと思います。

今回のサイエンスカフェには、この問題に関わってNPOで活動している若者や、若手研究者、大学生たちも参加してくれました。参加者の半数は若者でした。サイエンスカフェ終了後も、商店街のカフェで若者たちは坂井さんを囲んで意見を交換していました。年配の参加者は、「若い人が熱心に活動されていることを知り心強い」との感想を寄せてくれました。
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Tag:当日の様子  Trackback:0 comment:0 

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Author:zoomae
動物園前サイエンスカフェの企画運営をしています。
ご感想など頂けると幸いです。

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